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株安でも国債が上がらない?インフレ時代に変わる「分散投資」の常識

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FRB研究者の分析で、米国の株式リターンと10年国債利回り変化の相関は2000〜2021年の+0.40から2022年以降の−0.09へ。インフレ時に株と国債が同時に下落する仕組みを解説。

30秒でわかる / THE SIGNAL

国債はいつでも株安を補うわけではない。FRB研究者の分析では、インフレ圧力と金融政策への期待によって株式と国債が同時下落しうる。相関係数は株価と国債価格ではなく、株式リターンと国債利回り変化の関係を示す。

「株が下がれば国債が上がる」は絶対ではない

分散投資の代表例は株式と国債の組み合わせだ。景気悪化で株式が下落しても、金利が低下して国債価格が上昇すれば、損失を和らげられる。しかし2026年10月16日公表のFRBスタッフ研究は、その関係が経済環境次第で変わると示した。これはFRBの金融政策決定ではなく研究者による分析である。

相関係数が示す変化

米国の株式リターンと10年国債利回りの日次変化の相関は、2000〜2021年に+0.40、2022年から2026年7月末には−0.09だった。欧州は+0.41から−0.02、英国は+0.31から−0.14。ここで比較しているのは国債価格ではなく利回りだ。一般に利回り上昇は国債価格下落を意味するため、相関がマイナスになると株安と債券安が重なりやすい。相関は平均的な関係であり、毎回同じ値動きをするという意味ではない。

+0.40 → −0.09米国:株式リターンと10年国債利回り変化の相関(2000〜2021年 → 2022年以降)

2026年3月には株も国債も下落

FRBが示した2026年3月2〜31日の累積リターンは、米国株−5.13%、米国10年国債の推計リターン−1.97%。欧州株−6.51%、ドイツ10年国債−2.04%、英国株−5.60%、英国10年国債−3.79%だった。債券リターンは利回り変化とデュレーション7年から概算した値で、実際の投資信託や保有債券の運用成績ではない。

−5.13% / −1.97%2026年3月の米国株式リターン/10年国債推計リターン

なぜインフレで国債の守りが弱まるのか

需要の弱さが中心なら、中央銀行は利下げで景気を支えやすく、国債価格が上がることがある。一方、原油高など供給側のショックで物価が上昇すると、景気悪化と同時にインフレ抑制のため高金利が続くとの見方が強まりうる。すると株式が売られ、国債利回りも上がって価格が下がる。研究者は、インフレ圧力とショックの種類が国債のヘッジ機能を左右すると説明している。

家計・資産形成で確認したいこと

ここからはWORK SIGNALの考察だ。『国債』という名前だけで値動きが小さいと決めつけず、満期まで保有する個別債券と、時価で変動する債券ファンドを区別したい。長期債ほど金利変化に対する価格感応度が大きくなる傾向がある。資金を使う時期、現金の備え、株式・債券の比率、通貨や為替リスクも併せて確認することが重要だ。今回の研究だけで国債を売る・買うと判断する根拠にはならない。

研究の限界とWORK SIGNALの視点

対象は米国、ユーロ圏、英国で、日本国債への直接的な検証ではない。統計は2026年7月末までの観測であり、将来の相関を保証しない。相関から個人の運用成績や因果関係を一意に導くこともできない。研究はインフレ圧力が落ち着けば国債のヘッジ効果が改善する可能性にも言及している。分散投資は『組み合わせたら終わり』ではなく、どんなショックに備える設計なのかを考え続けることが大切だ。

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