財務省が2026年10月21日に公表した9月の貿易統計速報では、輸出額は前年同月比16.7%増の10兆9,723億円、輸入額は18.9%増の11兆5,088億円。金額の伸びをそのまま販売数量や利益の伸びと捉えないための視点を整理する。
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2026年9月の輸出額は前年同月比16.7%増、輸入額は18.9%増で、貿易収支は5,365億円の赤字。金額の伸びには数量だけでなく価格や為替の影響もある。企業の業績を見る際は販売数量と利益率を分けて確認したい。
輸出額は16.7%増。輸入額も18.9%増えた
財務省が2026年10月21日に発表した9月の貿易統計(速報)によると、輸出額は10兆9,723億円で前年同月比16.7%増、輸入額は11兆5,088億円で同18.9%増となった。差し引きの貿易収支は5,365億円の赤字だった。
輸出額の伸びは目を引く。ただし、輸出金額が16.7%増えたからといって、海外で売れた製品の数量も16.7%増えたとは限らない。売上に相当する金額と、実際に動いたモノの量を分けて読む必要がある。
半導体関連と自動車が輸出増を支えた
公表資料では、半導体等電子部品が前年同月比49.4%増、半導体等製造装置が43.9%増、自動車が15.1%増と、輸出額の増加が目立つ品目に挙がっている。
AI向けの設備投資や半導体需要との関連は考えられるが、今回の品目別統計だけでは増加分のうちAI関連需要が何割を占めるかは分からない。『半導体関連の輸出が伸びた』ことと『AI需要だけで伸びた』ことは区別したい。
金額と数量は、なぜ違う動きをするのか
輸出額は、製品が売れた数量だけでなく、輸出価格や為替の影響を受ける。例えば同じ数量の製品を同じドル建て価格で売っても、円安になれば円換算した輸出額は増える。
2026年9月の税関長公示レート平均は1ドル157.43円で、前年同月より6.7%の円安だった。もっとも、輸出額の増加のうち何割が為替によるものかを、この数字だけで断定することはできない。
財務省は輸出入の数量指数も公表している。金額の伸びと数量の伸びを比較することが、貿易の実態を読み解く出発点になる。
輸入増は企業の仕入れコストにも関係する
同じ9月、輸入額は18.9%増加し、輸出額の伸びを上回った。原粗油や半導体等電子部品、液化天然ガスなどの輸入額が増えている。
輸入額の増加は、輸入する量が増えた場合だけでなく、資源価格や為替の変動でも起こる。海外から原材料や部品を調達する企業では、円建ての仕入れコストが変わる可能性がある。一方、円安がすべての企業に同じ影響を与えるわけではない。調達先、販売先、契約通貨によって影響は異なる。
WORK SIGNALの視点:売上が伸びたら3つの数字を見る
ここからは編集部の考察だ。会社の売上が増えたときは、売上金額に加えて『販売数量』『仕入原価』『利益率』を確認したい。
例えば販売数量が横ばいでも、価格改定や為替の影響で売上が増えることはある。反対に、売上が増えていても仕入れコストの上昇で利益率が下がることもある。
今回の貿易統計は速報値であり、後に改定される可能性がある。日本経済全体の賃金や暮らしがどれだけ改善したかも、この統計だけでは分からない。輸出額の増加という明るい数字を評価しつつ、数量・価格・利益を分けて見ることが、経営判断にもニュースの読み方にも役立つ。