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AIの会話は「速さ」から「気遣い」へ。NTTとドコモが示す接客の次の競争軸

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NTTは平均0.43秒で応答する双方向型音声AI、ドコモは相手の状況や感情に配慮する高EQ音声対話技術を同日発表。顧客対応で重要になるのは応答速度だけでなく、安心して話せる体験だ。

30秒でわかる / THE SIGNAL

2026年10月26日、NTTは相槌・発話待ち・割り込みに対応し平均応答時間0.43秒を達成した音声対話AIを、NTTドコモは安全性と共感を両立する「高EQな音声対話技術」を発表した。人に近い会話を目指す方向性は共通だが、技術も実験条件も別々だ。今後の顧客接点では『どれだけ速く答えたか』に加えて『相手が安心して話せたか』が問われる。

同じ日に示された、音声AIの二つの進化

NTTは2026年10月26日、相手の発話を聞きながら相槌を打ち、発話を待ち、途中の割り込みにも応じる双方向型音声対話技術を発表した。指示文の変更で予約受付や問い合わせなど業務ごとのトークフローに対応し、会話中にデータベースやCRMを参照・更新する仕組みも備える。同日、NTTドコモは、相手の状態や場面を踏まえて振る舞いを調整する「高EQな音声対話技術」を発表した。両社の発表は同じ音声AI領域だが、別の研究・評価結果であり、単一の製品発表ではない。

NTT公式発表:https://www.group.ntt/jp/newsrelease/2026/10/26/261026a.html NTTドコモ公式発表:https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2026/10/26_01.html

0.43秒の応答。速さだけでなく『待てる』ことを測る

NTTは日本語のコールセンター対話を模した400対話で、平均応答時間0.43秒を報告した。比較対象の商用対話AIより平均応答時間を50%以上短縮し、同社が示す日本人オペレーターの平均0.31秒に近づいたという。ただし、これは特定の実験条件での結果であり、あらゆる顧客対応で人間並みの品質を実証したものではない。NTTは応答時間に加え、利用者が言葉を探しているときに待つ『発話待ち成功率』や、AIの話を人が遮ったときに止まる『割り込み成功率』も評価している。会話の品質は速く答えることだけでは決まらない。

ドコモが評価するのは、AIの『答え』だけではない

NTTドコモは「AI EQ+1 Framework」と「EQリファレンスアーキテクチャ」を示した。応答速度などの基本性能に加え、安全性・誠実性、相手への寄り添い、場への適応、キャラクターの一貫性、継続利用の成果を評価する構成だ。LLMの外側に、状況を読み取る入力、振る舞いを決める制御、適切な表現、安全性を保つガードレール、評価に基づく改善を配置する。ドコモは『人間の感情を理解した』と断定しているわけではなく、利用者の状態に配慮した応答を設計・評価する技術として説明している。

約40人の実証で発話量は約1.4倍に

ドコモは2026年8~10月に成人約40人を対象とした実証を実施した。初対面での比較では、利用者の1回当たりの発話量が、EQ要素を入れないAIで約58字、入れたAIで約83字となり、約1.4倍に増えた。10日間の継続利用でも『また話したい』などの評価が高まる傾向を確認したとしている。ただし小規模な実証であり、長期の顧客満足度、解約率、労働生産性への効果が確立したとまではいえない。

WORK SIGNALの視点|『即答』が正解ではない仕事もある

ここからは編集部の分析だ。問い合わせ対応では速さが重視される一方、相談、苦情、医療・介護、教育のような場面では、相手が考える間を待つことや、話の背景を確かめることが信頼につながる。AIの性能指標も、応答速度と正答率だけでなく、話しやすさ、誤解の少なさ、不適切な同調の防止、担当者への適切な引き継ぎを組み合わせる必要がある。AIに『気遣い』を実装することと、AIが人間と同じ感情を持つことは別の話だ。

管理職が導入前に決めたいこと

実務上は、①問い合わせの解決率や再問い合わせ率、②顧客が話を中断した割合や引き継ぎの適切さ、③担当者の負担、④安全性と個人情報の扱いを分けて評価したい。感情に寄り添う表現が増えても、誤った案内や過度な同調が増えては意味がない。会話ログを品質改善に利用する場合は、利用目的、保存期間、アクセス権限を明確にする必要がある。人を置き換えるかどうかの二択ではなく、人が担うべき判断とAIに任せる応対を再設計することが重要になる。

今後の展開と一次情報

NTTはコールセンターや自治体・ホテルなどの窓口への展開を想定し、2026年11月のNTT R&D FORUMで研究成果を展示する予定。ドコモもカスタマーサポート、介護、教育などへの適用を視野に入れている。両技術の商用導入効果は今後の検証課題だ。

NTT株式会社(2026年10月26日) https://www.group.ntt/jp/newsrelease/2026/10/26/261026a.html NTTドコモ(2026年10月26日) https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2026/10/26_01.html

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