厚生労働省は2026年10月30日の労働政策審議会で、法定休日をあらかじめ指定する義務、13日を超える連続勤務の規制、副業・兼業時の割増賃金に関する労働時間の通算を検討論点として提示した。休日や働く時間の管理が変わる可能性がある一方、いずれも現段階では決定事項ではない。公表資料から、現行ルールと検討中の論点を整理する。
30秒でわかる / THE SIGNAL
厚生労働省は2026年10月30日の労働政策審議会で、法定休日をあらかじめ指定する義務、13日を超える連続勤務の規制、副業・兼業時の割増賃金に関する労働時間の通算を検討論点として提示した。休日や働く時間の管理が変わる可能性がある一方、いずれも現段階では決定事項ではない。公表資料から、現行ルールと検討中の論点を整理する。
休日・連続勤務・副業の3テーマを正式に議論
2026年10月30日、厚生労働省の第214回労働政策審議会労働条件分科会が開催された。議題は「労働基準関係法制について」。資料No.1-1では、①法定休日の特定を義務づけるか、②13日を超える連続勤務を規制するか、③副業・兼業時の割増賃金に係る労働時間の通算をどうするか、という論点が明示された。
これは政府による法改正の決定でも、企業への新しい義務の即時導入でもない。過去の審議で積み上げられた論点を引き続き検討する段階だ。
なぜ「13日超の連続勤務」が論点になるのか
現行の労働基準法は、原則として週1回の休日、例外として4週間に4日以上の休日を認める。厚労省の背景資料は、4週4休の配置次第では制度上48日の連続勤務が可能な例を示す。また、実態調査では最大14日以上連続して勤務した労働者が約2%だったと紹介している。
審議会では、精神障害の労災認定基準との整合も踏まえ、「13日を超える連続勤務をさせてはならない」という規制を設けるかが論点になった。資料には、2025年度の精神障害に係る労災支給決定のうち、2週間以上の連続勤務を主たる出来事として心理的負荷が「強」と判断された事案が30件(うち自殺3件)だったとの数値も掲載されている。これらは規制の必要性を検討する資料であり、現時点で上限が法定されたことを示さない。
法定休日を「いつ」と指定するか、副業の労働時間をどう数えるか
現行法は週1回の休日を原則とするが、法定休日を特定する義務までは定めていない。今回の論点は、休日を事前に特定する義務と、変更・振替の時期や方法をどう設計するかだ。シフト制や突発的な欠員対応を伴う事業場には影響があり得るが、具体的な変更期限などは決まっていない。
副業・兼業では、現行の労働基準法第38条と関連通達に基づき、別の使用者の下での労働時間を一定の場面で通算する。割増賃金計算の通算ルールを見直すべきだという使用者側の意見がある一方、労働者側は長時間労働を抑制する仕組みの弱体化を懸念している。資料No.1-1は割増賃金の通算の在り方と健康確保措置を問いとして掲げており、結論は示していない。
働く人と人事担当者が今できること
現時点で企業が新ルールに切り替える必要はない。ただし、シフト表から最大連続勤務日数を確認し、法定休日と所定休日の扱い、振替休日と代休の区別、休日労働の申請・記録を点検することは、現行法令の適正運用にも役立つ。
副業を認める企業は、雇用契約を伴う副業と個人事業などの働き方を区別し、本人申告・労働時間・健康状態をどう把握するかを整理したい。今後は審議会の議事録、答申、法案の有無を確認し、検討段階の話を「決定」と混同しないことが重要になる。