AIエージェントが生成したコードを実行するとき、どこまでシステムへのアクセスを認めるべきか。Akamaiは10月27日、AIモデル提供サービスと、生成コードを隔離して実行する新サービスを発表した。安全性の実装と運用上の限界を整理する。
30秒でわかる / THE SIGNAL
AIエージェントが生成したコードを実行するとき、どこまでシステムへのアクセスを認めるべきか。Akamaiは10月27日、AIモデル提供サービスと、生成コードを隔離して実行する新サービスを発表した。安全性の実装と運用上の限界を整理する。
AIがコードを書くなら、実行できる範囲も決める
Akamaiは2026年10月27日、「Akamai Inference」と「Akamai Agent Sandbox」を発表した。前者は企業がAIモデルを利用するためのサービス、後者はAIエージェントやAIが生成したコードを制限付きの環境で動かす仕組みだ。いずれも現時点ではベータ提供となる。
AIが文章を作るだけでなく、プログラムを書き、実行し、外部ツールを操作する場面が増えると、回答内容の正しさに加え「そのコードに何を許すか」が重要になる。Akamaiはモデルの提供とコード実行環境を同じクラウド基盤に整備する方針を示した。
WebAssemblyで生成コードを追加隔離、外部通信は初期遮断
Akamaiの製品説明によると、エージェントはAkamai Functions上で動き、SpinのWebAssembly実行環境で隔離される。さらに、エージェントが生成するJavaScriptやPythonのコードは別の制限された実行環境に置かれる。生成コードの外部通信は初期設定で禁止され、計算資源やメモリ、接続先にも制限を設けられる。
これは、AIへの指示だけで安全を確保するのではなく、実行環境そのものに技術的な境界を置く設計だ。ただし「隔離している」ことは、すべての攻撃や誤操作を防げるという意味ではない。権限設定、許可したツールやMCPサーバー経由の操作、ログの確認は別途必要になる。
12モデルをOpenAI互換APIから利用可能に
同時発表のAkamai Inferenceは、OpenAI互換APIからオープンウェイトモデルや独自モデルを扱う仕組みだ。公式発表によると、開始時点のカタログは12モデルで、規模は80億から2兆8,000億パラメータ。サーバーレスの従量利用と専用導入を選べるとしている。
API互換性は既存アプリケーションからの移行を容易にする可能性があるが、モデルごとの出力品質、細かなAPI差異、料金、性能は別途比較が必要だ。対応モデルが多いことだけで導入効果が保証されるわけではない。
管理職と開発担当者が確認したいこと
ここからはWORK SIGNALの考察だ。業務にAIエージェントを導入する際は、「どの業務を任せるか」と同時に、「どのデータに触れられるか」「どの操作を禁止するか」「例外時に誰が承認するか」を決めることが重要になる。たとえば社内資料の要約と、顧客情報の変更や送信では、必要な権限と監査の水準が異なる。
今回の発表は、AIの能力だけでなく、実行範囲を制御する基盤にも競争が広がっていることを示す。ただし両製品はベータ段階であり、独立した安全性評価や導入企業の定量的な実績は未確認。利用を検討する企業は、小規模な検証で権限・監査・性能・費用を確認する必要がある。