富士通はMicrosoft 365 Copilotを約10万ライセンス展開。2026年6月時点の利用率は90%超、社内サービスデスクの初期回答・振り分け業務の約75%をAIエージェントが自動化。研修と業務設計の重要性を考える。
30秒でわかる / THE SIGNAL
AIの全社導入では配布数だけでなく、現場研修、業務工程の分解、空いた時間の使い道を設計することが重要。
AIを10万人に配るだけでは、仕事は変わらない
生成AIの導入を考える企業が増えています。しかし社員にAIツールを提供することと、実際の業務が変わることは別の問題です。Microsoftが2026年10月9日に公開した富士通の導入事例では、約10万人規模でMicrosoft 365 Copilotを展開し、社内サービスデスクの初期対応を大幅に自動化したことが紹介されています。
7,500人から約10万人へ。段階的に広げたAI導入
富士通は2025年7月に7,500ライセンスで試験導入を開始。2026年1月に3万、4月には約10万ライセンスへ拡大しました。2026年6月時点で、利用可能な社員の90%超がCopilotを利用しています。実践型セミナーや研修動画、優れた活用事例の表彰など、定着を支える施策も実施しています。
年間約30万件の問い合わせ。初期対応の約75%をAI化
社内サービスデスクでは年間約30万件の問い合わせを受けます。その初期回答と分類・振り分け作業の約75%をAIエージェントが自動化しています。ただし問い合わせの75%が完全に無人解決されたという意味ではありません。担当者はナレッジの改善やAI精度向上など、より専門的な仕事に注力できるようになったと説明されています。
管理職が学べる3つのこと
ここからは編集部の考察です。第一にAI導入はIT部門だけの仕事ではなく、現場で学び事例を共有する仕組みが重要です。第二に業務を受付、分類、初期回答、専門判断、改善などの工程に分け、自動化しやすい部分から進めること。第三に削減した時間の使い道を決めることです。時間短縮を、社員が価値の高い仕事に集中するための環境づくりにつなげたいところです。
利用率90%と投資対効果は別の指標
富士通自身もAI導入効果の測定を今後の課題と説明しています。利用率は定着の指標ですが、利益や品質改善を直接証明するものではありません。セキュリティ上の制約などで利用できない社員もいます。今回の数字はMicrosoftが公開した顧客事例に基づき、第三者の独立した効果検証や全社ROIを示すものではありません。
AIを導入することから、仕事を設計し直すことへ
社員が使いやすい環境を整え、業務を見直し、改善事例を共有する。AIの普及が進むほど、こうした地道なマネジメントが重要になります。AIを何人が使ったかだけでなく、AIによって人がどんな仕事に集中できるようになったのか。その変化まで見届けることが、導入を成功に近づける鍵になるでしょう。